会話のシステム — 視線と相槌

  1. 会話は一定の秩序のもとで行われる.人が路上でぶつからないのと同じ[Duncan 1974].
  2. ターンテーキング:会話の役割交代.ソーシャルシグナルが使われる.
  3. 今回は,ターンテーキングの初期の研究として著名な,[Kendon 1967]における主な知見を紹介する.
  4. q-gaze(会話の相手に視線を向ける),a-gaze(会話の相手から目をそらす)に注目した分析が行われた.
  5. qを注視するために費やされた時間は20%~70%までの幅があるが,発話者が聞き手を注視するより,聞き手が発話者を注意する傾向がみられた.
  6. 「gaze directionが変わる率の高さ↑a-gazeの平均長(q-gazeよりも)」「q-gazeの平均長↓a-gazeの平均長」「話しているときのq-gazeとa-gazeの長さ↑聞いているときのq-gazeとa-gazeの長さ」などの相関がみられた(↑は正の相関,↓は負の相関).また,q-gazeの平均量は話し相手に応じて多寡があり,相手が頻繁にq-gazeをするときは自分も頻繁に-gazeをするという傾向がみられた.
  7. 発話の交代が起きるとき,95発話のうちの70%以上はa-gazeではじまった.
  8. 発話者が発話を終えたとき,q-gazeがあるときの71%は間髪を入れず発話の交代が観察された,q-gazeがないときは29%しか間髪を入れない発話の交代は観察されなかった.
  9. 話の途中であっても,発話者が次の発話内容について考えていると思われる時は,発話速度も発話の連続区間数が低下するという意味で発話の流暢さが失われるとともに,相手を見ない(=q-gazeが低下する)という仮説を裏付ける観察結果が得られた.

(続く)
参考文献
[Kendon 1967] Adam Kendon. Some Functions of Gaze-direction in Social Interaction, Acta Psychologica 26 (1967) 22-63.