会話情報学のねらい

こうした言語分析をさらに進め,会話における人間の行動を分析することによって我々を取り巻く日常で行われている会話がどのような原則の下で成り立っているのか,参加者は何を学び,何を提供しているのか,そしてそのような相互作用に参加する人間の内部でどのようなことが起きているかを理解することが会話情報学の研究[Nishida 2007 Wiley]の第一の動機―科学的な動機―となっている.
会話情報学の第二の動機は,会話について得られた知見を集めて会話を拡張する技術を開発することを目的としている.なかでも会話に参加できる会話エージェントを実現することは最もチャレンジングな目標だ.会話エージェントを構成することによって,会話について得られたいろいろな知見を統合することによって確かに会話が再現できることを確認するだけでなく,人間同士の会話のモデレータとして投入することによって会話を活性化したり,一つの会話の場で得られた知見をその場にいなかった他の人たちに伝承し,さらに発展させていくことによって,コミュニティの知識創造に貢献できる[西田 2000 岩波][西田 2009 知の科学].
参考文献

  • [Nishida 2007 Wiley] Toyoaki Nishida (ed.). Conversational Informatics: an Engineering Approach, John Wiley & Sons Ltd, London, 2007. <Publisher’s site>
  • [西田 2009 知の科学] 西田豊明, 角 康之, 松村 真宏.社会知デザイン,人工知能学会編,知の科学シリーズ,オーム社,2009. <Publisher’s site>
  • [西田 2000 岩波] 西田豊明:インタラクションの理解とデザイン,岩波書店,2000年11月22日.<Publisher’s site>2005年再度刊行.<Publisher’s site>