KendonのGesture論

現代の非言語コミュニケーション分析の基礎を作ったAdam Kendonの仕事を取り上げる.Kendonは,コミュニケーションにおける発話,ないしは,発話の構成要素とみなされる視認できる身体の動きをジェスチャとして規定し,分析した.

  • クレーンの操作を指示するといった作業を効率的に行うために便宜上定められたsign language:ジェスチャの範囲に入るが,Kendonが注目したのはより日常的な場面で使われる身体の動きである.
  • Ekmanはジェスチャ研究も視野に入れ,emblem, illustrator, adaptor, regulator, affect displayへの分類があるが,Kendonは,こうした分類より機能の分析が重要であるとして批判している.
  • ジェスチャの機能のなかにはClark (1996)で示されているsignの3タイプ:① describing as a type of thing.規則によって対象Oと関連付けられるsymbolとしての機能;② indicating a thing.物理的に対象Oと結合されるindexとしての機能;③ demonstrating a thing.対象と知覚的に類似したiconとしての機能,が含まれている.
  • ジェスチャの階層:ジェスチャユニット>ジェスチャフレーズ>準備,ストローク,リカバリ.
  • ジェスチャユニットのなかに一つのジェスチャフレーズが含まれている場合.”throw”という発話とジェスチャストロークが同期している.[Kendon 2004, p. 114]
  • 発話+ジェスチャへのアノテーション表記法も導入されている.[Kendon 2004, p. 114]
  • ジェスチャユニットのなかに一つのジェスチャフレーズが含まれているもう一つの例.Sは”window display”といいながら,目の高さまで挙げた掌を斜め外側に向けて,両手を同時にはじめは外向け後は内向けに対称的に下す [Kendon 2004, p. 117]
  • 次は発話に同期して4つのストロークからなるジェスチャが行われる場合.[Kendon 2004, p. 122]
  • 次はジェスチャと発話の同期のパターンが詳細に調べられている.ジェスチャと発話,どちらかが他を決めるわけではない.[Kendon 2004, p. 128]
  • 発話の繰り返し,ジェスチャの繰り返し.ただし,この例では2回目は右手のみ.[Kendon 2004, p. 130]
  • 次の例,Example 5では,ジェスチャは繰り返されるが,2回目は修正されている.[Kendon 2004, p. 133]
  • もっと複雑な例.赤ずきんの物語に従って,手斧(hatchet)をさっと一振りする様子が描写されている.[Kendon 2004, p. 136]
  • 今度は井戸の壁を描写している. [Kendon 2004, p. 138]
  • 次の例(Example 8)では,ジェスチャの準備が済むまで,発話を控えている.”all”という発話に合わせて手を体の外側に動かそうとしている.[Kendon 2004, p. 139]
  • ジェスチャの準備が済むまで発話を待つもう一つの例.腕を振り下ろして強調ジェスチャをする準備ができるまで,強調される語”museum”の発話を待っている.[Kendon 2004, p. 141]
  • Example 10も同じタイプ.LAXtonという名の高校を強調したい.その準備ができるまで発話しない. [Kendon 2004, p. 142]
  • Example 11では,現在のジェスチャが完了してから次の発話をしている. [Kendon 2004, p. 145]
  • Example 12は,ジェスチャが完了してから次の発話を行うもう一つの例.[Kendon 2004, p. 145]
  • Example 14は,ジェスチャを引き立てるために発話をしないで,ジェスチャだけ行う [Kendon 2004, p. 148]
  • Example 15はジェスチャを引き立てるために発話をしないで,ジェスチャだけ行うもう一つの例.行為者は,”it was”と言ってからジェスチャを始めている.後に続くものをジェスチャで示している. [Kendon 2004, p. 148]
  • Gesture and speech in semantic interaction.言語表現にない意味をジェスチャで補っている.[Kendon 2004, p. 164]
  • 言語表現にない情報.大きさ・形状の規定,輪郭のスケッチ,側方/水平方向へのオブジェクトの配置,モノを置くための具体的な動作など [Kendon 2004, p. 166]
  • 平らな表面のジェスチャ.
  • 種を蒔き方の表示.
  • ジェスチャが出てから正しい言葉が発話されることもある[Kendon 2004, p. 171]
  • Gesture and referential meaning.ジェスチャの6つの役割.① Narrow gloss.狭く規定されており,語や句と同等.② 言語表現と共起して意味を加える.③ 言語表現の意味をより明確にする … [Kendon 2004, p. 176],④ 例示の役割 … [Kendon 2004, p. 176],⑤ 形状,大きさ,空間的な特徴…の規定 … 言葉では難しい. [Kendon 2004, p. 176],⑥ deicticな(直示的な)表現となるとき [Kendon 2004, p. 176],
  • Narrow gloss.”money”, “thief”など.[Kendon 2004, p. 178]
  • Narrow glossジェスチャが等価の言語表現とともに使われるとき.聞き手を無視しづらくしている. [Kendon 2004, p. 180]
  • ジェスチャによるアイデアの提示時間の引き延ばし. [Kendon 2004, p. 182].
  • ここの例では「過去のことである」というメッセージや,「おいしい」というメッセージを追加している [Kendon 2004, p. 184]
  • ジェスチャと言語表現が一致しないときは,ジェスチャは意味を追加していることになる.
  • 形状の詳細(morphological details)情報の追加の例 [Kendon 2004, p. 186]
  • ジェスチャでものの性質や空間的な関係を示している例. [Kendon 2004, p. 188, 189, 192, 193]
  • On pointing.形状によって機能が異なる.① 人差し指を延ばす,掌は下向き(index finger extended, palm down). [Kendon 2004, p. 209],② 人差し指を延ばす,掌は垂直(index finger extended, palm vertical). [Kendon 2004, p. 211],③ 掌を開き,垂直に [Kendon 2004, p. 211],④ 掌を開き仰向けに (open hand supine, palm up) [Kendon 2004, p. 213],⑤ 掌を開き上に向ける(open hand palm up) [Kendon 2004, p. 213],⑥ 掌を斜めに (open hand oblique) [Kendon 2004, p. 216],⑦ 掌をうつ伏せにして掌を向こうへ向ける(open hand prone (palm away)). [Kendon 2004, p. 218]
  • 形状の類似性→意味的な共通性をもつジェスチャ族.grappolo (’purse hand’ (すぼめた手), ‘finger bunch’(指の束)).疑問があること,あるいは,説明を求めていることを示す. [Kendon 2004, p. 229]
  • R-display(指をRing状に丸める).テーマは「正確」. [Kendon 2004, p. 239]
  • 掌を開いてうつ伏せにする(Open hand prone).停止,割り込みを示唆する. [Kendon 2004, p. 252]
  • 掌を開いて仰向けにする(Open hand supine).「提示」がテーマ. [Kendon 2004, p. 265]

Rerefence
[Kendon 2004] Kendon, A.: Gesture, Cambridge University Press, 2004