ClarkのJoint Activity Theory

ClarkのJoint Activity Theory [Clark 1996]は言語行為論をより広い視点から発展させたものとして捉えることができる.豊富な道具立てを導入して言語運用を包括的に捉えようとした試みであると言える.

  • language useの理論では,言語を人が何かを達成するためにjoint actionを行う現象として捉えている.
  • 会話のセッティングは,copresence, visibility, …などの面からとらえることができる.参加の度合いに着目すると,the speaker, the addressee, side participant, overhearer (bystander, evesdropper)に分類される.
  • individual actionは個人が遂行するが,joint actionは人々の集まりが遂行する.joint actionにおいて,行動の連携をするにはcommon groundが必要.common groundは参加者が共有していると信じる知識,信念,想定(supposition)から構成される.
  • 言語を使った社会的行為では,話者が意味をsignalとして生成し,聞き手がその理解を行う.
  • 話の中に話が出てくるとき,複数のレイヤを持つ会話としてモデル化される.例えば,Ken:「My sister told me … There were these three girls and they just got married …」.Kenのいう,My sister told me …は現実世界での言明だが,there were these three girlsは妹の話の世界のなかでの言明. Clark (1996)
  • speakingとlisteningはいくつかのレベルから構成される.一番下は,発声と聴講,次は発話の構成と道程,次は意味の生成と理解.
  • Clark (1996)では,ここまでのイントロが6つの命題としてまとめられている.すなわち,命題1:言語は原理的に社会的な目的に用いられる,命題2:言語使用は共同行為(joint action)の一種である.命題3:言語の使用は常に話者の意味生成と聞き手の理解を含む,命題4:言語使用の基本的なセッティングはface-to-faceの会話である,命題5:言語使用はしばしば2つ以上のレイヤから構成される.命題6:言語使用の研究は認知科学と社会科学の両方に属する.
  • 言語使用はjoint activityのなかで生じる.joint activityが目的であり,言語使用は手段としての位置づけになる.joint activitiesはアクティビティタイプという考え方に触発されている.joint activitiesの広がりを捉える次元.scripted vs unscripted, formal vs informal, verbal vs nonverbal,cooperative vs competitive, egalitarian(平等主義) vs autocratic(独裁的)
  • Joint activityの例.店で買い物をして,カウンターで代金を支払う.Joint activitiesのfeature.参加者,ロール,公開された目標,私的な目標,階層,手続き,境界,ダイナミクス.
  • Joint activityへの参加者は先験的知識,信念,仮定といったものをもちこみ,そのうちのいくらかはcommon groundを形成する.
  • common groundは初期値,現在値にわかれる.ディスコースは日常言語が主要な役割を果たすjoint activityであり,signalやcommunicative actsに依拠している.言語から非言語までの広がりがある.Joint activityは漸進し,common groundを蓄積する.
  • 以上をまとめると,①言語使用はjoint activityの一部,②joint activityは基本的なカテゴリ,③ディスコースは日常言語が顕著な役割を果たすjoint activity,④joint activityは参加者に同定可能なjoint actionを介して進行する.
  • joint actionはjoint activityを進行させる役割をもつ.joint actionの核心は,内容とプロセスの両面でcoordinationを実現すること.内容:例えば,カヌーをいっしょにこぐことで合意されているということ.joint actionを行うためには,参加者はcoordination problemを解くことができなければならない.coordination problemを解くことが,language useの核心.
  • coordination device:相手になにがしかのアクションが求められていることを伝える「装置」.しきたり,慣例,明示的な同意,顕著なイベントなど.
  • joint salienceの原理.common groundに照らして十分顕著であるソリューションを使うことが理想.
  • coordination problemを解くのに特段適したcoordination deviceはコミュニティで共有されているしきたりと明示的な合意.
  • たいていのcoordinationは連続的なものであるが,そのようななかでjoint actionがcoordinateできるのは時間軸がphaseに分割されているから(phaseごとにcoordinationが行われる).joint actionのcontinuous coordination. 3つのcoordination戦略.① cadence, ② entry, ③ boundary.
  • Common ground.joint actionを行うためには必須である.
  • shared basisの原理.coordination deviceは,必要なcommon groundのためのshared basisでなければならい.common groundのためのshared basisを見つけたり,生成するにはどうしたらいいか? → communal common ground,あるいは,personal common groundに訴える.同じ文化背景,同じ個人的経験,共有されている知覚,あるいは,その記録に依拠する.
  • Common groundまとめ.joint actionをするときは必ず,common groundの一部を仮定する必要がある.Common groundは自己意識の形態をとる.
  • common groundの一部を正当化するためにはそのためのshared basis ― joint personal experienceあるいはjoint action ― を示せばよい.
  • 人々の間のcommon groundは,communal common groundとpersonal common groundに大別される.
  • 意味と理解.joint actionの大半はcommunicative actsである.伝統的には,言語行為論.perlocutionary acts(発話を聞いた聞き手が何かをすることを期待した行為),illocutionary act(発話によって引き起こされる社会的行為).それらの下にもrhetic act, phatic act, phonetic actなどのレベルが認められる
  • → action ladder.upward completionとdownward evidence.action ladderの例.A: proposing / asking / presentation / executing, B: considering / recognizing / identifying / attending.
  • 意味と理解まとめ.joint actionの大半はcommunicative acts.伝統的な見解はcommunicative actsは自律的.本書の見解.addresseeも参加したjoint action.
  • Signaling.signalを使って意味を伝える.signalとはあることを意味するsignの提示のこと.Sign Sは,① icon: 対象Oに知覚的な類似性を持つ,② Index: 対象Oに物理的に接続される,③ Symbol: 規約によって対象Oに対応づけられている,のいずれかである.
  • Signalingの第一のタイプはdescribing-as.これは,SignのSymbolとしての機能を使う.例えば,首を縦に振るといった,symbolicなSignの使用.
  • IndicationはIndicesとしてのsignsの機能を利用したSignaling.indicesは指や声で生成できる.
  • demonstratingはiconとしてのsignを使ったsignaling.depictive / supportive / annotative / indicentalな側面がある.demonstrationには,身体を使ったもの,顔を使ったもの,声を使ったもの,ジェスチャを使ったもの.
  • describing-as, indicating, demonstratingは混合している.例えば,Jane: “Sometimes I find them amusing, other times I find them exasperating”. describing-as, demonstratingに加えて,Iやthemをindicate.
  • Signalingまとめ.describing-as, indicating, demonstratingの合成.describing-asは記憶された規則の想起.Indicatingは個人の位置づけ.demonstratingは姿の想起.言語非言語.language useにはいろいろなsettingがあるがface to face conversation が最もベーシック。
  • Joint projectsはsignalを使って参加者が共同で実現するプロジェクトのこと.signalの共同解釈のレベル(3)と,共同プロジェクトの提案と採択のレベル(4)に関わる.
  • 共同プロジェクトは,参加者の一人が提案(project)し,他の人がそれを取り上げる(take up)することで開始される.
  • signalとしての発話の共同解釈は,共同プロジェクトの特性に依存したインタラクティブな逐次的なプロセスの中で確立される.
  • 共同プロジェクトのはじまりとなるのは,プロジェクト提案と採択からなるjoint actionである.これは共同行為としての性格を持つので,参加者の誰かが提案しても,他者が採択しなければ成立しない.
  • 隣接ペア(adjacency pair):異なる話者が発話した1組の発話から構成される.隣接ペアを構成する発話は一定のパターンをもつ型に分類され,2番目の発話の形式と内容は1番目の発話のタイプから決まる.隣接ペアにおいて,2番目の発話は1番目の発話に関連し,ある程度予測可能である,という意味で条件的に関連づけられている. Schegloff & Sacks (1973), Clark (1996).
  • 隣接ペアの例:summons-response, greeting-greeting, question-answer, assertion-assent, request-promise, promise-acknowledgment
  • 拡張された共同プロジェクト.人々は会話によって共同作業を行うのであるが,実際にどのように作業をするかは前もって知ることはできない.そこで臨機応変に隣接ペアを日和見的に使いつつ,プロジェクトを組み立てていく.
  • 隣接ペアの合成の仕方には,埋め込み(embedding),連鎖(chaining),先行連鎖(presequencing)がある.
  • 先行連鎖は,Schegloff (1980)で導入された概念であり,相手が共同プロジェクトを採択する準備ができるまで時間がかかると思われるとき,あらかじめ頭出しをしておくこと.たとえば,「ちょっと頼みがあるんだけど」と頭出しをした後,いったん別の話題に振っおいてから,頼みごとの話に戻ってくる.
  • 共同解釈:話者と聞き手がどのようにして,話者が意図していると理解されたことに落ち着くか? 共同解釈の原則.各シグナルに対して,話者の意図したことについての解釈を共同で構築しようとする.聞き手は自分の理解に応じて返事をする.
  • 人々は自分の理解内容の提示の仕方をたくさん知っている.それがillocutionary actによって直接的に示されることはあまりない.
  • 最小の共同プロジェクトには提案-採択の主として6つのパターン{verified construal, revised construal, narrowed construal, corrected construal, undetected misconstrual, elective construal}がある.
  • elective construal (選択的な解釈):間接発話行為の概念から派生したものである.Clark (1996)では,話者だけによる間接発話行為ではなく,聞き手との間の共同解釈の行為の一部として捉えている.
  • joint projectsまとめ.会話では参加者は共同プロジェクトを行う.参加者のうちの一人が提案し,別の人が採択する.それに関わる参加者からあまねく貢献を必要とする.基本的な構成単位は隣接ペアであり,日和見的に遂行される.最小の共同プロジェクトは共同解釈を構築するために必要である.この場合も,シグナルを発生する人だけでなく,それを採択して内容を吟味する参加者からの貢献がある.
  • 次はグラウンディング.共同プロジェクトの成否は共同解釈構築の成否に依存している.groundingの基本的な考え方はインタラクションが閉じたループを形成していること,つまり,行為者は行為の完結を確認してから,次に進む.そのためにはシグナルを効果的に使い,アクションの遂行とその完結の確認を効率的に行いたい.参加者AがシグナルをBに提示するプレゼンテーションフェーズと,BがAのシグナルを受け取り,そのことをevidence e’を使ってAに知らせる.受けてからのポジティブなevidenceとしては,理解したことの表明,理解したことを前提にした行動をすること,理解したことの提示,理解したことの例示がある.
  • concluded contributionでは,応答者は,発話を理解したことを示す代わりに,それを前提として次の貢献に進む.例えば,質問されたとき,質問がわかったことを示す代わりに,答えを返す.わかったらすぐに返事をする,ターンをとることなく同意する,ターンを取らないときは発話をオーバーラップさせる,バックグラウンドを使う,など
  • 貢献を続けるとき,聞き手はいろいろなバックチャンネルを使って理解していることを示す. acknowledgments,
  • パッケージング.発話における情報のパッケージングは多様である.発話者が複雑な情報を提示したいときは,installment(分割払い)をする.
  • collaborative completions.通常は発話者が発話を完結させるものであるが,しばしばそれができないことがある.そのようなときは聞き手に手助けとなる発話をしてもらって発話を完結させることがある.
  • Truncations.もうわかったと思えば,聞き手は話し手をさえぎってプレゼンテーションを中断させる.
  • ここでtrackという概念が導入される.track 1は話の公式の内容を伝える.track 2は,track 1に関するメタコミュニケーションを行うために使用する.
  • Fade-out.話し手は自ら話を中断することもある.それでも聞き手は話の内容を理解できることもままある.
  • Track 1だけで会話が進む例,Track 2も活用されている例.Track 1だけが使われている例でも,発話者は「いま言っていることを理解している?」という問いを暗黙裡に発し,聞き手はそれを取り上げることが期待されている.発話者はtrack 1の発話を介してtrack 2の多くの共同プロジェクトを起動している.trackは再帰的であり,傍系のトラックはまた自分の傍系トラックを持つ.
  • 傍系のシグナルはみな意味や理解に関わっており,一定の枠あるいはそのバリエーションンに当てはまる.
  • これらのシグナルは次のような特徴を持つ.① backgrounding.Track 1が図,Track 2が地,② 同時性.track 1とtrack 2で同時にシグナルが発生する.③ 簡潔性.track 2のシグナルは簡潔.④ 区別.Track 2のシグナルはtrack 1のシグナルから区別されなければならない.
  • 時間的な配置.話者は自分が言われたことを理解したか,そうでないかを自分の発話の時間軸上への配置の仕方で示すことができる.
  • track 1の各発話には期待される韻律がある.傍系シグナルを作るにはそれを変調する(新たに,韻律を重畳する).
  • エヴィデンス提案の原理.あらゆるプレゼンテーションにおいて,話者はtrack 2の理解のシグナルを使って,自分が適切/経済的/タイムリーだと思う理解のエヴィデンスのタイプを提案する.
  • Groundingまとめ.発話者はシグナルを聞き手に提示し,両者は協力して,シグナルが現在の目的を達するためによく理解されたという相互理解がえられるようにする.完結された発話では,聞き手は関連する次の貢献に進むことでプレゼンテーションが理解されたと結論する.継続的な発話では,聞き手は”uh huh”とか”yeah”といった確認とともに自分が理解したことを宣言する.会話をしている人たちは,track 1における発話内容伝達とtrack 2のコミュニケーション行為に関する事柄についてやり取りをする.
  • Utterances.今度はaction ladderの低レベルの現象について.つまり,level 2: presentation, level 1: execution and attention.
  • 主要なプレゼンテーション:発話者がofficial businessであるとみなし,track 1に属するプレゼンテーション.副次的なプレゼンテーション.communicative actsであり,track 2に属する.
  • Ex-official elements.先行して示したtrack 1要素. インクリメンタルな要素.どのcommunicative actsの要素にもならない(例えば,”well”のたとのポーズ).
  • よくあるジェスチャでtrack 2に属するもの.① delivery gesture(情報を配布するしぐさ),② citing gesture.聞き手の過去の発話に言及.③ seeking gesture(聞き手から応答を引き出す).④ turn gesture.ターンに関わるジェスチャ.
  • 崩壊の図式.話者が情報の配送がうまくできなくなると,そのプレゼンテーションを崩壊させることになる.多くの崩壊は中断によって区切られたいくつかの区間にわけられる.
  • 発話の中断店は普通は明確である.発話者は発話が修了すると思われないようなところで,発話をとめる.そして,休止,語の中断,ひきのばし,母音の保持,フィラーなどの「発話中断装置」を使って発話を止める.
  • 発話の中断はしばしば沈黙以外の,次のような要素で埋められる.①ポーズがないとき,②休止,③フィラー,④”I mean”といった編集表現,⑤映像ジェスチャ
  • “I mean”, “you know”などの編集表現は明らかにシグナルである.
  • 人々がしばらく一連のイベントに注意を傾けるときは,次のような性質がある.①選択性.一時に一レベルのイベントにだけ注意を傾けられる.②人々はミリ秒のオーダーで,別のものにさっと注意を向けなおすことができる.③注意は壊れやすく他のものに移ろいやすい.
  • BがAに注意を傾けているかについての正の根拠,負の根拠は容易に認識できる.
  • Utterances.まとめ.発話は話者の特権(prerogative)だと思われがちだがそんなことは全くない.Level 1では,話者は音声化やジェスチャ生成を行っている.レベル2では,話者は聞き手にシグナルを提示している.こうした活動がうまく働いてコミュニケーションが行われるためには,いずれのレベルでも緊密な行動調整が必要である.話者も聞き手も行動調整のための一連の戦略を持っている.レベル1では,話し手の音声,ジェスチャへの聞き手の注意構造の制御が問題.有用なシグナルの一つは視線.レベル2では,話者の話の中断への対応が主要な話題.話者は中断をマークし,何で置き換えたかを示すためにいろいろなシグナルを使う.
  • 共同のコミットメント.共同プロジェクトを提案することと,共同のコミットメントを確立することは全く異なる.
  • 要請と遵守による財の移動における共同コミットメントについて.財の異動は社会的なプロセスであり,参加者の気持ち,感情,アイデンティティのマネジメントが必要である.
  • 社会的オブジェクトは関与する人が定義し,共同行為の中で前提とし生成する.それ以上でも以下でもない.
  • 社会的オブジェクトの一つのタイプは社会的状況.人々は社会的状況に何を与え,何を得るかをいつも気にして比較していると言われてきた.
  • 多くの場合,人々は公平さを目指すと言われている.コストと利得のバランスをさせることが,影響力のある社会的理論の基底にあった.
  • equity theoryの骨子は,AとBはeuityを維持しようとし,そのために大きな労力をかける.
  • equityが損なわれたときの回復手段は概ね3つのタイプに分類される.①埋め合わせ,②再評価,③再定義.
  • なぜ,人々はequityが崩れると苦痛を感じるか?
  • Goffmanによると人々は「顔」(face, または尊厳)をもつ.出会いのたびに顔が増減するが,それはいろいろな感情を呼び起こす.
  • 顔は社会的オブジェクトであり,所有者だけによって決定されるのではなく,出会いなどにおいて相手と共同で決定される.
  • 言語使用において人々は自分自身および他者の顔を維持するよう動機づけられる.
  • 発話者Aと聞き手Bの間で起こり得ること:① AがBを批判したりして,Bの尊厳を低める.② AがBに対して命令したりして,Bの自由を低める.③Aは,謝罪などして自分自身の尊厳を低める,④Aは約束をしたりして自分自身の自由を低める.
  • 財の移動がequityに関わるのであれば,予想されるタイプの平衡化装置を必要とする.
  • AがBからの財の移動を要求するとき,equityを保とうとすると,① 正当化:BにとってAに財の移動をすべき十分な理由があることをBに伝える,②要求の最小化:Bにとってのコストが大きいとき,③将来の義務.将来Aがお返しにBに何かをする意図があることを伝える,④Bの利益を最大化する.Bがその行為をすることによって生じることがBにとってメリットのあることを伝える.
  • Equity theoryからの予測:財が高価であればあるほど,聞き手は受け入れない傾向がある.社会実験でこのことが確かめられたという.
  • Joint Commitmentまとめ.ジョイントプロジェクトが実行されるためには,人々は互いに何かにコミットしなければならない.財の交換は一般に参加者の顔の維持の問題に帰着される.顔の維持は多くの人々にとって重要な問題である.自己の尊厳を高める行為や低める行為など.財の交換はその主要目的が財の移動であるが,ここでもfaceの管理は大きな問題になる.equityとfaceは共同コミットメントを必要とするアクションを制約する.
  • 次はconversation.会話は目的を持つが,あらかじめ計画されているわけではない.隣接ペア,会話の分節を含む会話の全体的な構造は共同行為の原則から創発する.
  • Sacksらが提案したターンテーキングの規則は日常みられる会話シーンを説明できるようデザインされた.
  • ターン割り当て規則は,主要なプレゼンテーションに関わるものであり,傍系のプレゼンテーションと矛盾するものである.人々は傍系のプレゼンテーションに遭遇しても特段異常なことが起きているとは感じない.
  • Conversationまとめ.会話は前もって計画されたものではない.会話は共同行為に関するいくつかの原則に基づく参加者の行動から創発する.会話の参加者はターンテーキングの規則に従っているように見えるが,実はいくつかの原則に基づく共同行為をしているだけである.会話にはいろいろな側面があるが,ジョーク,逸話,物語なども含めて,提案され,採択される共同プロジェクトとしての性格を持つ.共同行為は参加者に行為の調整を要請し,共同プロジェクトはより多くのものを要請する.
  • つぎはLayeringについて.会話の参加者たちが物語を語っている世界と,物語で語られている世界.
  • Layeringの特性.① Layer間の非対称的な関係,②各ドメインは独自の参加者と状況,③直示的な枠組みも異なっている,④イベントは同時に進行する.⑤layerは再帰的に構成される.
  • 隣接レイヤ.主たるlayer 1とそこから派生したlayer 2の関係.①マッピング.ドメイン2の要素はドメイン1にマップされる,②主要参加者たちは,ドメイン1とドメイン2の事物を異なるものと解釈する.③因果性.ドメイン2の多くのものはドメイン1の対応する事物によって引き起こされるが,逆は成立しない.④アクセス.layer 1の参加者はドメイン2の事物にアクセスできるが逆は成立しない.⑤話者の意図.2つのレイヤがあったとき,話者が聞き手に対してシグナルによって意味するものはlayer 2に属する.⑥2つのレイヤがあったとき,主たる参加者たちはlayer 1のアクションを鑑賞し,layer 2のアクションを想像する.
  • Staged Communicative Acts: Layer 1の人物A, Bと意図された人物Ai, Biについて.①AはBをjoint pretenseに引き込んでいる.②joint pretenseはAiがBiに対して誠実なコミュニケーション行為を行うことである.③AはAiとして,BはBiとして受け取られている.④AはAとBが想定された状況と実際の状況の間の顕著な対照を観察することを意図している,⑤もし尋ねられたら,AiがBiに対して意味したことをAはBに否定するだろう.
  • 表向きの招待.嘘だということが相互にわかりつつ,あたかも一方が他を招待し,他が辞退しているようにふるまう.これは,①joint pretense, ②communicative act(ここでは招待),③対応づけ,誰が誰だか相互に了解されている,④対照.表向きだけの招待と,それを理解した上での辞退.
  • この対照において,招待した側は埋め合わせの申出を演じることで自分の気持ちを伝え,Cathyもそのことが分かったうえで辞退した.ただしここには両面性(ambivalence)が現れている.
  • (結託:collusion)AはBにAの願い通り,ふりをしてほしいと思っている.
  • Layeringまとめ.最も単純なレイヤリングでは,人々は2つのジョイントアクションを同時に進行させているだけである.layer 1の行為が一つのドメインで起き,layer 2の行為は第一のドメインの参加者が共同で作り出した第二のドメインで起きている.共同アクティビティでは,人々はレイヤリングを使ってある仮想的な世界を現実の世界と対比させる.
  • layeringは物語に必須である.参加者たちは,物語世界で起きたことを想像しつつ,著者と登場人物がなぜそのような世界を創出したのかを鑑賞している.

まとめ
社会的なアクションとしての言語使用.一連のアクション,レベル,トラック,レイヤー.言語使用は本質的にシグナルの使用である.describing-as, indicating, demonstratingが3つの基本的なシグナリングの方法である.非言語シグナルも含めて言語使用の枠組みの中でとらえる.
Reference
[Clark 1996] Herbert H. Clark.  Using Language. Cambridge, Cambridge University Press  (1996)