Yngve 1970

相槌(back channel)の研究の先駆的論文としてよく引用される[Yngve 1970]を概観する.

  • ターンを持っている話者は,back channelを通して,ターンを手放すことなく聞き手からの”yes”,”uh-uh”といった短いメッセージを受け取る.
  • バックチャンネルはコミュニケーションの質のモニタリングに重要な役割を果たす.バックチャンネルが切れた状態が起きると,話者からけげんに思われる.
  • バックチャンネルの存在によって,ターンを有するか否かという区別と,発話者/聞き手という区別を別のものとして扱わなければならなくなる.
  • ターンは会話に帰属する属性であり,会話参加者誰もが等しく認識すると考えたくなるところであるが,現実には,誰がターンを有しているかという点に関して会話参加者が異なる認識をするような状況を扱わなければならなくなる.
  • Yngveの研究ではシカゴ大学に関係のあう若い成人が実験参加者として選ばれ,テレビカメラと鏡を組み合わせた収録装置が考案された.
  • Yngveの論文では,バックチャンネルの様々な例が収集された.発話と同時にバックチャンネルが起きるターンの方が沈黙の有無とかかわりなく起きる,質問のあと相手が答える前に宣言文が続く,といった現象が頻繁にみられた.
  • ターン交代シグナルもそれを使っている人も無謬ではないようにみえた,例えば,会話参加者の両方が自分がターンを有していると思って同時に話し始める,といった現象がしばしば見られたという.
  • バックチャンネルの適切性は,参照に依存しているように見える.
  • バックチャネルは双方向に同時に作られるときもある.
  • バックチャンネルの生成の仕方も変化に富んでいる.単にアテンションを傾けている,興味を持ち続けていることを示唆する,同意の頷きや短い発話から,短いコメントや質問に至るまで.また,バックチャンネルに対するバックチャンネル(back-back-channel)を伴う行動も見いだされた.
  • 2レベルのターン変数.ターンを有する/フロアを有する.
  • ターンテーキングが何回か繰り返された後で,フロアの獲得が行われる.フロアが獲得されたあと,フロアを有していない参加者は,ときおり短いターンをとって,質問をしたりする.
  • ターン変数はより上位のレベルのアクティビティとつながっている.対話は話題による組織化が行われている.
  • ターン交代が円滑に働くかどうかは,起きていることの構造の一様性と密に結びついている.シグナルが来たらそれに対する反応がほとんどすぐに起きるときは,予測可能性が密に起きているといえる.
  • 会話に対して丁寧さを保ったままで割り込むことのできるタイミングはわずかしかないように見える.
  • シグナルとしては,顔のわずかな傾きをともない,口をわずかに開いて息を吸う,といったとき.

Reference

  • [Yngve 1970] Yngve, V. On getting a word in edgewise. 6th Chicago Linguistic Society, 567-578, 1970.